2023-03-20
不動産売却が年金に影響することを心配する高齢者が多いようですが、実際に影響はあるのかについて説明します。
年金にはいろいろな種類がありますが、不動産売却による影響を心配しているのは「老齢年金」であることがほとんどです。
老齢年金には、年金加入者全員が受け取る「老齢基礎年金」と、企業で厚生年金に加入していた人だけが受け取る「老齢厚生年金」があります。
年金は老後の生活を支えるための大切な収入であるので、不動産売却をしてほかに収入が増えたら、その分年金が減らされてしまうのでは…というのが多くの高齢者が心配する内容です。
しかし不動産を売却しても、その影響で年金が減ることはないので心配いりません。
それは老齢年金の受給額は、年金に加入している間に払った年金額によって決まるものであり、前年度の年収などに左右されるものではないためです。
多くの高齢者が、不動産売却の影響で年金が減ると心配することには理由があります。
それは、60歳を超えても働きながら厚生年金保険料を払い続けている高齢者は、年金の支給額が減らされる減額制度があるためです。
年金は高齢になって働けなくなった人のための制度なので、元気で働いて収入を得られる人は年金が少なくてもいいだろうと考えられています。
そのため年金の受給対象となっても働き続けて、厚生年金保険料を払っている人は、年金の減額対象となります。
それを知っている高齢者は、不動産売却によって譲渡所得が出た場合も、収入が増えるので同じように減額対処になるのではと勘違いしてしまうのです。
しかし実際には不動産売却の影響で年金が減ることはないです。
同じ年金でも、老齢年金ではなく障害年金を受給している場合は、少し事情が異なります。
20歳になる前から障害年金を受給している場合は、年金が減額される可能性があります。
年金は20歳を過ぎてから納付が開始されるため、20歳にならずに年金受給が始まった人は、年金保険料を納めていません。
そのため所得制限がかけられていて、所得の額によっては減額や停止の措置がとられてしまうのです。
具体的には2人世帯で所得額が398万4千円を超えた場合で2分の1に減額、500万1千円を超えると全額が支給停止になります。
不動産の売却で398万4千円以上の利益が出た場合は、障害年金が減額もしくは停止される可能性があることは覚えておきましょう。
【譲渡所得の計算方法】
まずは、不動産売却で発生する所得の計算方法から確認しておきましょう。
不動産を売却したときに利益が出たときに発生する所得を「譲渡所得」といい、以下のように計算します。
譲渡所得=譲渡価格(売却額)ー(取得費 + 譲渡費用)
取得費は不動産の購入費、譲渡費用は売却で要した仲介手数料や諸経費のことです。
なお建物に関しては、購入代金から経年による減価償却費を差し引いた額が適用されます。
この計算式に当てはめて算出してみてプラスになったときに、譲渡所得が発生します。
公的年金は、「雑所得」として課税対象となっていて、一定金額を受給する際には所得税と復興特別所得税が源泉徴収されています。
そのため通常は確定申告が必要なのですが、年金受給者の負担軽減のため、以下の条件の両方にあてはまるなら確定申告は不要にする「確定申告不要制度」が適用されます。
・公的年金などの収入金額の合計が400万円以下で、すべてが源泉徴収されている
・公的年金など以外の所得金額が20万円以下である
つまり通常は譲渡所得が発生したら確定申告が必要になりますが、年金額が400万円以下で、譲渡所得が20万円を超えなければ確定申告をする必要はありません。
対して年金額が400万円以下でも、譲渡所得が20万円を超えてしまった場合には確定申告が必要になります。
また譲渡所得が20万円以下だとしても、年金以外のほかの所得とあわせて20万円を超える場合には、やはり確定申告が必要です。
逆に譲渡所得がマイナスになった場合には、税金が還付される可能性があるので、確定申告するようにしてください。
それでは年金受給者が不動産を売却するときには、どのような注意点があるのでしょうか。
不動産売却で譲渡所得が発生しても年金には影響ありませんが、所得税と住民税は発生することが最初の注意点です。
税金については、年金受給者だからといって免除されることはありません。
ただし売却した不動産がマイホームだった場合には、3,000万円の特別控除を受けられるので、発生した譲渡所得が3,000万円以下であれば実質所得税は発生しないことになります。
3,000万円の特別控除を受けるためには、必ず確定申告する必要があります。
確定申告をしなかった場合には、控除が受けられずに所得税を支払うことになるだけではなく、延滞税も加算されてしまうことになるので注意するようにしてください。
国民健康保険に加入している場合は、翌年の保険料が増える可能性があることが、2つ目の注意点です。
国民健康保険の保険料は、前年の収入をもとに計算しているため、譲渡所得が発生した場合には負担が増えてしまうのです。
しかも国民健康保険料は、老齢年金から天引きされるため、不動産売却によって前年度の収入が増えたときには手元に残る年金は確実に減ります。
なお75歳以上の場合は、国民健康保険料ではなく後期高齢者保険料が、同様に年金から天引きされます。
介護保険を利用するときには、一部利用者負担がありますが、所得が増えると負担割合が増える可能性があることが、3つ目の注意点です
基本的に、介護保険を利用するときの自己負担割合は一割とされていますが、1年間の合計所得が220万円を超えた場合は最大3割まで負担が増えます。
そのため不動産売却で発生した譲渡所得が220万円を超えなくても、他の収入との合計が220万円を上回った場合には、負担増の覚悟が必要です。
不動産を売却して譲渡所得が発生した場合でも、老齢年金の額には影響ありません。
しかし税額や国民健康保険料、介護保険の負担額は増える可能性があるので注意しましょう。
また確定申告については、確定申告不要制度がありますが、譲渡所得とそのほかの収入をあわせて20万円以上になった場合には申告が必要です。
譲渡所得がマイナスになったとしても、確定申告をすることで税金が還付されることもあります。
実際に確定申告が必要か不安なときには、専門家に相談するようにしてください。
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