不動産を売却したら国民健康保険料が上がる!?売る前にその仕組みを学ぶ

こんにちは!彩の国ハウジングセンター 株式会社GHCです。


不動産を売却して利益が出た時にかかるお金といえば、譲渡所得税がよく知られています。
しかし不動産を売却して得たお金そのものではなく、不動産を売ったことで毎月の支払額が上がる可能性があるお金をご存知でしょうか?
それは「国民健康保険料」です。
今回は国民健康保険料が不動産売却とどう関係しているのか、上がらないケースはあるのかなどについてご紹介します。


不動産売却で国民健康保険料が上がるのはどういう時?不動産売却で国民健康保険料が上がるケースを学ぶ前に、まずは国民健康保険やその他の健康保険のことをおさらいしておきましょう。

国民健康保険
国民健康保険とは、自営業者や会社を退職した方、勤務先の健康保険に加入していない方が加入する健康保険で、通称「国保」といいます。
運営主体は都道府県で、保険料を決定するための割合は自治体ごとで異なります。


組合保険

組合健保とは、企業が単独もしくは複数の企業が共同で設立して運営する健康保険です。

単独で設立する場合は常時700人以上の従業員が、共同で設立する場合は参加企業の合計従業員数が常時3,000人以上いないといけません。組合健保の被保険者(健康保険加入者)は、組合健保を運営する企業に勤める方とその扶養家族です。

協会けんぽ
協会けんぽとは、組合健保を設立していない企業が加入している健康保険で、全国健康保険協会が運営主体となっています。
いわゆる中小企業に分類される企業が加入していて、被保険者は協会けんぽ加入の会社に勤める従業員とその扶養家族です。


共済組合

共済組合とは、公務員や私立学校に勤務する職員を対象とした健康保険組合です。
国家公務員とその扶養家族が被保険者となる「国家公務員共済組合」、地方公務員とその扶養家族が被保険者となる「地方公務員共済組合」、私立学校の職員とその扶養家族が被保険者となる「私立学校職員共済組合」の3種類に分かれます。

「社保」といわれるのは3種類
以上4つの健康保険のうち、いわゆる「社保」と呼ばれるのは国民健康保険を除いた3種類です。
自分または扶養してくれている家族がどの健康保険の被保険者になっているのかは、お手持ちの保険証に記載されている保険者番号と運営主体名で判断できます。
なお75歳以上の方は、国民健康保険や社保とは別の「後期高齢者医療制度」という健康保険に加入することも補足として覚えておきましょう。

不動産売却で保険料が上がる可能性があるのは国民健康保険加入者

先ほどおさらいした健康保険のうち、不動産売却が理由で保険料が上がる可能性があるのは「国民健康保険に加入している方」です。
なぜなら、国民健康保険は前年1年間に被保険者が得た所得の合計額を基に次年度の保険料を決定するのですが、不動産売却で出た利益も所得の一部として計算されるからです。
いっぽう、組合健保・協会けんぽ・共済組合の被保険者の場合、保険料は勤務先が支払う給与所得を基準に決めるため、不動産を売却しても影響はありません。


国保加入者は不動産売却前に要チェック!国民健康保険料の計算方法

続いて、国民健康保険料の計算方法についてご紹介します。

先述のように、国民健康保険料は自治体ごとで計算に用いる割合が異なるため、所得金額が同じでも自治体が違えば保険料が変わります。
国民健康保険料の金額は、次の3つの項目を合算して決まります。

●医療分(実際の医療で利用される分)
●支援分(後期高齢者医療に利用される分)
●介護分(介護保険で利用される分)※介護分の加算は40歳~64歳の被保険者が対象


この3つの項目それぞれに対し、さらに次の4つの項目を組み合わせて保険料を計算します。

●所得割(1年間の所得金額から計算する)
●均等割(1世帯あたりの国民健康保険加入人数から計算する)
●資産割(固定資産税の金額から計算する)
●平等割(各自治体が決めた金額)


※資産割については計算に用いない自治体もあり。
次に、国民健康保険加入者の家族構成と所得例を基に、保険料を計算してみましょう。

例:夫40歳(年収550万円・年間所得430万円)・妻37歳(専業主婦)・第一子(小学4年生)・第二子(小学1年生)、大阪府堺市在住

●(1)医療分所得割 (430万円-33万円)×8.08%=32万776円
●(2)医療分均等割 2万2,911円×4人=9万1,644円
●(3)医療分平等割 2万7,118円

【1】医療分合計:43万9,538円
●(4)支援分所得割 (430万円-33万円)×2.81%=11万1,557円
●(5)支援分均等割 8,924円×4人=3万5,696円
●(6)支援分平等割 1万147円

【2】支援分合計:15万7,400円
●(7)介護分所得割 (430万円-33万円)×2.94%=11万6,718円
●(8)介護分均等割 1万8,801円

【3】介護分合計額:13万5,519円
【1】+【2】+【3】=73万2,457円


※堺市は資産割未導入のため、資産割の計算は不要。
上記計算の結果、例で挙げた世帯の場合の国民健康保険料は1年間で73万2,457円となります。

国民健康保険料の計算時はここに注意!

医療分・支援分・介護分ともに、計算対象の金額には上限(賦課限度額)が設定されています。
堺市の場合、医療分は61万円、支援分は19万円、介護分は16万円が賦課限度額となっているため、これらの合計額を上回る国民健康保険料は請求されません。
参考サイト:堺市 保険料の仕組みと税率
そして所得割・均等割・平等割の計算で用いられる割合は改定されることがあるので、不動産売却前に自治体の国民健康保険のページで最新の割合をチェックしましょう。



不動産を売却しても国民健康保険料が上がらないケースはある?

組合健保・協会けんぽ・共済組合加入者は不動産を売却しても保険料が上がらないのに、国民健康保険加入者だけが影響を受ける可能性があるのは不公平に思えるかもしれません。

しかし国民健康保険加入者が不動産を売却しても、最終的に利益が出なければ保険料が上がる心配はないのです。
不動産売却時に利益(譲渡益)があるかどうかの判断は、次の計算によって決まります。

売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡益

●売却価格…買主が売主に支払った代金
●取得費…その不動産を購入した時の価格から減価償却費を差し引いた金額
●譲渡費用…不動産を売却するためにかかった諸経費の合計金額


例えば売却価格が3,500万円、取得費が3,250万円、譲渡費用が250万円だった場合、売却価格から取得費+譲渡費用の金額を差し引くと0円となり、利益はありません。
利益がないということは、国民健康保険料は上がらないままです。
いっぽうで売却価格が3,500万円、取得費が2,500万円、譲渡費用が250万円だった場合、750万円の利益が発生します。

利益があっても「3,000万円の特別控除」が適用されたら保険料は上がらない

日本には不動産売却時の譲渡益から3,000万円を控除し、最終的に利益がなければ譲渡所得税を課税しないルールがあります。
これを俗に「3,000万円の特別控除」などといい、次のように計算します。

売却価格-(取得費+譲渡費用)-3,000万円=譲渡所得税課税対象額(最終利益)
先ほどの例でいうと、750万円の利益から3,000万円を控除すると2,250万円のマイナスとなるため、最終利益もありません。
よって譲渡所得税は非課税となり、また最終利益もないため年間所得に加算されず、国民健康保険料も上がらないままで済みます。

3,000万円の特別控除が適用されるには条件がある

ところで不動産売却時に3,000万円の特別控除が適用されるためには、下記のような一定の条件を満たさなければなりません。

自分が住んでいた家で、かつその家に住まなくなった日から3年後の年末までに売却すること
(例:2020年10月1日に引っ越したら、2023年12月31日までに売却する)

売却した年を含む過去3年間に、3,000万円の特別控除やマイホーム買い替え特例などを受けていないこと
(例:2020年に売却したら、2018年~2020年の3年間に該当する控除や特例などを受けていないこと)

親子や夫婦など、親族や特別な間柄による売買でないこと
条件を満たしている方は、不動産売却後に確定申告を行えば譲渡所得税の課税および国民健康保険料のアップを避けられます。


まとめ

国民健康保険料と不動産売却は一見すると何も関係がないように思えますが、利益があるかないかで大きく関係します。
不動産売却で得る利益は売った年限りの利益で、毎年発生するものではありません。
しかし3,000万円の特別控除適用の条件から外れてしまうと、翌年の保険料が大幅に上がって家計を圧迫する可能性があります。
保険料アップは結構負担が大きいため、国民健康保険加入者の方は不動産売却前に自治体の保険料の計算方法と3,000万円の特別控除のルールをしっかりおさらいしておきましょう。

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